Necktie of Trivia
ネクタイはじめて物語
ローマ帝国の盛んだった頃(紀元1世紀の終わりから2世紀後半まで)はやわらかい布を無造作に首に巻く習慣が見られた。当時、故郷を遠く離れてローマの支配する北方の国境守備に派遣された将兵たちが、出征に当たって愛する妻や恋人から贈られた布を首に巻き、遥かに故郷を偲んだと言われる。

今日、見られるような結んであるネクタイの原型はルイ14世(1638年〜1715年)が着用したと伝えられている。しかし、ネクタイをフランスの上流社会に紹介したのは1656年にオーストリア、クロアチアのクロアット連隊の将卒がルイ14世に仕えるためパリにやってきた時、首に巻いた鮮やかな色彩の布であった。
流行に敏感なパリジャンの間に人気を呼んで流行し、クロアチア(フランス語ではCROATEクロート)にちなんでクラバット(CRAVATE)と呼ばれるようになった。ネクタイはNECK(ネック、首)の回りに巻くTIE(タイ、紐)の意味で、それまではクラバット又はネッククロース(首に巻いた布)という言葉が使われていた。

我国では1882年(明治15年)洋品雑貨商を営んでいた田中力蔵が東京日本橋区橘町で輸入ネクタイ販売業を始めた。その後1884年(明治17年)帽子商を営んでいた小山梅吉が女性の帯地からネクタイを作り、その後、独自の生地を織らせ東京、馬喰町と横山町に店舗を構え販売した人と言われている。

日本ネクタイ史(日本ネクタイ組合連合会)より抜粋

フランス国王 ルイ14世の肖像